2019年10月11日 採用担当

急速に加速する高齢化社会に対して、各所で早急な対応が迫られている日本。エヌアセットでも、65歳以上の高齢者が安心して住み続けられるための事業など、複数展開しています。これらの事業を発案し、自らその牽引役を担っているのが、営業部で部長を務める上野謙です。取り組み続ける原動力と、これまでの挑戦にスポットを当てます。

生涯顧客サービスの実現に向け、たゆまぬ挑戦を続ける

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株式会社エヌアセット 営業部部⻑ 上野 謙

創業12年目を迎えた株式会社エヌアセットの、2019年9月現在の社員数は約100名。この数年で、お部屋探しの契約件数も増え、高津区で一位の実績を上げられるようになりました。(※全国賃貸住宅新聞、仲介件数ランキング調べ)

当社の根幹である営業セクションを支える傍ら、外国人向けの仲介、地元企業向けのサービスなどの新規事業の立ち上げを担ってきたのが上野謙です。

2007年、前身である総合不動産会社に入社し、新卒2年目でエヌアセットの創業メンバーとなった彼。目まぐるしく変わる環境下で、賃貸仲介、売買仲介、保険、管理受託など幅広い領域の営業活動を行なってきました。

上野「当時、『しっかりと社会に認められるような事業やサービスを展開している会社がいいな』と思い、総合不動産会社へ入社を決めましたが、2年目からは状況が一変して。まずは目の前のお客様に対して、どうしたら信頼していただけるのか、日々試行錯誤していました」

日々、トライアンドエラーを繰り返しながら数年。時にはまったくうまくいかずに落ち込む時期もありました。それでも彼が歩み続けてきた根底にあったのは、揺るぎない想いです。

上野「うまくいかない中でも、良いと思うことはすべて取り入れ、とにかくがむしゃらに走り回りました。その甲斐あって、少しずつお客様からの信頼を感じ取ることがだんだん増えてきたんです。エヌアセットが目指しているのは、生涯顧客サービスの実現です。少し壮大すぎる言葉かもしれませんが、私自身『ひとりのお客様から何度もお仕事をご依頼いただけるようになりたい。それこそがお客様の生涯を支えることなのだ』という想いがあって。

だからこそ、自分自身ができることや取り扱える商品の幅を広げてきたいと考えました」

信頼に結びつくのは、地道な努力。ひとりの営業マンとして、賃貸仲介のみならず、売買仲介、保険、オーナーの管理受託営業など業務を拡げ、着実に知識と経験を増やしていきました。その中で上野は、自身の中にまだフォローできていない領域があると気づきます。

上野「例えば、外国人客へ対するサポートです。ずっとやりたいという気持ちがあった反面、どうしても言葉などが障壁となり取り組みきれずにいました。他にも地元企業やその社員に対するサポート、高齢化する社会への対応も。

どれも、人が安心して住み続けるためには必要不可欠なものばかりですよね。でも、これらをひとりでやるには、どれもハードルが高く、難しいことのように思いました」

彼個人としても、企業としても、根幹となる事業の基盤固めとともに重点課題としていたのが外国人へのサポートと高齢化社会への対応です。9年前にはエヌアセットベトナム社をホーチミンに設立、4年前には地元の介護事業者への出資など、先行して取り組み始めてはいました。しかし、本業である賃貸事業との連携が取れていない状態だったのです。

まずは知ることから。R65不動産との出会い、協業。

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パートナーである株式会社R65の⼭本様と。⾼齢者に向けたサポートの強化を⽬指し情報交換しています

2019年現在、エヌアセットが提供する高齢者向けのサービスはふたつありますが、どちらも上野がリードして高齢者サポート×賃貸事業のかたちに仕上げてきました。

ひとつは、2018年9月ごろからスタートした介護施設の紹介。出資している介護事業者いいケア社と連携しながら、地元の介護施設60施設を中心に、ご要望に応じて高齢者の方へご紹介しています。

上野「『デイサービスだけでは不安』という方へ対してお手伝いをすることになったのが始まりでした。現在は地元のケアマネージャーにヒアリングしたり、勉強会に参加しながら、少しずつ営業の幅を広げているフェーズです。

何事も、まずは知ることが大切だと思っています。施設そのものや、施設への入居を検討している人について知る努力をし、時には医療に関する用語も勉強する。新しい体験や知識の獲得は、やはり新鮮ですし、やりがいも感じられます。看護師の妻には、いつも相談に乗ってもらっています」

もうひとつは“賃貸住宅に暮らし続けたい高齢者”へのサポート事業です。今後ますます増加する高齢者に対し、介護施設以外の住まいや暮らしのサポートが必要となる、という上野の考えも反映されています。

上野「施設紹介事業を始めて、改めて認識したのですが、介護施設への入居はやはり高額です。

もちろんそれにはさまざまなサービスや人によるサポートがあるので、ある程度の金額はあって然るべきですが、高齢者の住まいの選択肢として賃貸住宅に担うべき役割がまだまだあることを知りました。とはいえ、賃貸住宅で住み続けるためにはオーナー側のリスクを緩和する必要があります」

そんなときに出会ったのが、65歳以上入居可能物件専門サイト「R65不動産」を運営する株式会社R65不動産の山本遼さんです。当社は、パートナー契約を結び、サイトへの管理物件掲出や入居者向けの見守り機器、保険サービスを提供しながら、高齢者世帯の賃貸入居サポート体制を強化することになったのです。

上野「このパートナー契約により、高齢者が賃貸住宅で“安心・安全”に暮らし続けるためには。リスク緩和のアイデアやマッチングサービス、実績を共有していきたいです。加えて、これを契機に管理エリア内に高齢者入居可能物件をますます増やしていきたいと考えています」

2024年、人口の29.7%が高齢者になると言われている日本。地域密着型不動産であり、生涯顧客サービスを目指すエヌアセットは、このような課題を解決していく使命があります。

きっかけは自身への後悔。高齢者に対する想いの源泉とは

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⾃⾝が⽴ち上げた⾼齢者施設紹介サービス利⽤者と

上野「実は、私、親不孝をしていると思っていて……」

高齢者に対して強い想いを持つ上野。その想いは、大学生時代の原体験により生まれました。

上野「大学生活の後半は、病で寝たきりとなり自宅療養をしていた母親の看護をしていたんです。日中は訪問看護の方がいらっしゃるのですが、夜間早朝は家族で面倒を見ていました。このまま母のそばにいたいと思う反面で『社会人になったら思い切り働きたい』という、自分の気持ちに嘘がつけなくなっていて。

就職活動中のある日、『就職したら家を出たい』と母に伝えました。相手の言葉を聞けるのみで、自身からは声を発せなかった状態の母は、涙を浮かべていましたが、その真意は今になっても分からないままですね」

その後、社会人になって目の前の仕事をがむしゃらにこなす毎日。

その年の7月、母親が逝去しました。
突然の知らせでした。

上野「威勢を張って家を出てきたけれど、果たして自分は、あのころの想いのまま、仕事をやり切れているんだろうか。もしかして、自分が家を出たから、母は思っていたよりも早く逝ってしまったのかな。

母にもっといろいろとしてあげたかったな、などと後悔の波が押し寄せてきましたが、亡くなってしまった今ではもう遅い。だとしたら、せめて、これから出会う人に『母にはしてあげられなかったことをしてあげたい』と強く思ったんです」

しかし、日々現場に出向き、せわしなく仕事と向き合う毎日。高齢者や要介護者へのサポート事業が思うように進まず、考える時間もままならない状況が続きます。

上野「不動産事業者だからこそできることはないか、と思いながら取り組んでいましたが、なかなか思うようには行かず。そんな中、連携してくれた介護施設のみなさんやR65の山本さんに出会えたのは大きかったですね」

いい出会いにも恵まれ、前進を重ねる上野。近頃はさらに先を見るようになりました。

上野「法人向けサービスを始めたときに、ある企業の人事担当者から介護離職に頭を悩ませていると聞きました。介護と仕事を両立できず、退職する人が少しずつ増え始めているそうです。会社にとって社員は大切な経営資源。大打撃ですよね。

改めて、高齢者が安心して暮らせる賃貸物件の整備や介護施設との連携は、『地域の人が安心して働き続けるための支援』になる可能性があると考えました」

現在は、高齢者の入居可能な物件は全体の数%ではありますが、まずはその割合を向上させたいと話す上野。駅から遠いのは必ずしもマイナスではなく、周辺環境(買い物、病院など)が整っていれば、高齢者にとっては十分なケースも少なくありません。

母親との別れから13回目の夏、上野の挑戦は始まったばかりです。

人の役に立って、また仕事を依頼される。“連続性のあるきれいな仕事”がしたい

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8年前に賃貸でお⼿伝いしたお客様の売買仲介を任せていただくことに

そんな上野が大切にしていること。それは「“きれいな仕事”ができたかどうか」です。

彼にとって、“きれいな仕事”とはどういうものなのでしょうか。

上野 「ひとりのお客様から、連続性を持った依頼を受けられるような、関係性によって成り立つ仕事が、わたしにとっての “きれいな仕事 ”です。先日は、高齢者福祉施設でお手伝いしているお客様から『今所有している賃貸物件の借上げ相談をしたい』とお話があり、提案させてもらう機会を得ました。

その後、ご依頼いただけたのですが、お客様ご自身の資産に関わる大切な業務を任せてもらえることが嬉しくもあり、やりがいだなと思いました。

仕事を通して信用していただき、次の仕事を任せてもらえる。不動産から暮らしのサポートまで、さまざまな相談が寄せられるようになって、一生涯、やりとりが続く。これが私の理想とする“連続性ある仕事のかたちですね」

生涯顧客サービスを掲げるエヌアセットと共に歩んできた、その道のりが上野の美学をつくり上げていったのでしょう。

ようやく、点と点が線となり、面をつくり上げて勝負できるようになってきた入社13年目の今──。上野がこれからもずっと大切にしていきたいことはなんなのでしょうか。

上野 「仕事柄たくさんのお客様とお会いしますが、良い関係性を築くには『自分という人間を好きになってもらう』ということが大前提だと思っています。自分を信用してもらうためには、まず相手のことを真摯に知ろうとする姿勢が大切。お互いの信頼があるからこそ、さまざまなサービスや会社そのものを相手に受け入れてもらえるんじゃないかと」

個人としても会社としてもチャレンジしながら、楽しみながら、そしてひとりのお客様と向き合いながら、生涯かけてお手伝いする。

そんな魅力的な社員で溢れる会社にするため、今も彼は進み続けています。