2020年10月9日 採用担当

「自分だったら、もっと良い接客をするのに」――学生時代、不動産会社に対して抱いた違和感が発端となり、業界の一員となった小山 貴之。不動産会社4社で15年の経験を積んだ今、あの頃の感情をどのように業務へ昇華させてきたのでしょうか。「不動産業界で生きる」と決め、歩んできた彼の軌跡と想いを紹介します。

公務員から不動産賃貸営業へ。根底には“学生時代の体験”にあった

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株式会社エヌアセット 管理部・賃貸経営サポートチーム 部⻑代⾏ ⼩⼭ 貴之

大学に進学したタイミングで、出身地である長野県松本市から首都圏へと住まいを移した小山。ひとり暮らしの舞台となったのは、川崎市中部にある住宅街・梶ヶ谷でした。

小山「渋谷・たまプラーザに大学があり、『東急田園都市線沿線なら、乗り換えなしで通学できる』と、利便性で選んだ街でしたが、まさかその選択が自分の将来に大きな影響を及ぼすなんて、当時は思いもよりませんでした」

大学卒業後、一度は公務員となるも水が合わず退職した小山が、次に飛び込んだのは不動産業界。根底には、彼が生まれてはじめて部屋探しをした時に抱いた、不動産会社への“違和感”がありました。

小山「不動産会社数社と接してみて『接客態度にばらつきがあるな』と感じたんです。丁重に接してくれた会社ももちろんあったのですが、20年以上経った今でも鮮明に残っているのは、『学生だから』と粗雑な対応をされた記憶。その時に湧いてきた『自分だったら、もっと丁寧な接客をするのに』という悔しさに似た感情が、ずっと心に残っていました」

小山の初の転職先となったのは、以前から好印象を持っていた総合不動産会社。梶ヶ谷の隣駅、溝の口に店舗を構えていました。

小山「学生の時に接客してくれた男性社員は、若いながらも豊富な知識があり、何を質問しても丁寧に、そしてスマートに答えてくれました。結局契約には至らなかったのですが、『こういう社員が最前線で活躍している会社は、きっと顧客第一主義になんだろうな』という印象を受けました。

転職活動を始めた時に、たまたま友人から紹介されたのが、この総合不動産会社だったんです。面接官の印象もよく、『ひと』を大切にするという理念も共感できたため、即入社を決めました」

一生不動産業界で生きてゆく。その決意が人生における選択を変えた

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エヌアセット創業当初は営業部に所属しながらも、オーナーフォローや⼊居者対応など、幅広い業務に従事してきました

2006年6月、小山は総合不動産会社に入社。賃貸仲介の営業として、三軒茶屋支店に配属されました。当時、会社は設立7年目。社員数を大幅増員し、拡大路線に向け突進している最中でした。

小山「会社が成長フェーズだったことに加え、当時の風潮も影響していたと思うのですが、とにかく放任主義の社風で。教育らしい教育は受けられず、『先輩の背中を見て覚えろ』という感じで、入社当初は苦労の連続でしたね(笑)。 

学生時代に小売り店でのバイト経験があったので、最低限の接客マナーはわきまえていたつもりですが困惑した思い出が強く残っています。

特に、この店舗は他社の管理物件の仲介を専門としていたので、基本的には物件概要、間取り図、地図をまとめたマイソクしか資料がない。これをどのように読み解けばいいのか、はじめは見当もつきませんでした」

小山が仕事に対して手応えを感じるようになったのは、入社から半年後のこと。試行錯誤の末、お客さまのニーズに適した物件をうまくマッチングできるようになり、契約数を伸ばしていきました。

小山「お客さまへのヒアリングの際に『優先順位を明確にする』こと、物件をご紹介する際に『エビデンスを示しながら理路整然と説明する』こと。この2点を意識して取り組んでいたら、契約できる件数が徐々に増えてきて。自信を持って提案できるようになったことも、プラスに働いていたと思います」

三軒茶屋支店に1年在籍した後、溝の口本店に異動。小山は、自社管理物件を中心に紹介できる恵まれた環境の中で、次第に営業としての頭角を現わしていきます。しかし、異動から1年も満たないうちに、リーマンショックが勃発。会社は破綻の危機に追い込まれました。2008年8月末、小山はある覚悟のもと、退職を決めます。当時、26歳でした。

小山「2年経験してみて、不動産業が自分の性に合っていると確信できたんです。それで『一生、この業界生きていく』と腹を決め、会社を辞めて宅地建物取引士の資格試験を受けることにしました。試験は1カ月後、しかも一旦は無職になるという、なかなか勇気のいる決断でしたが、とにかくその時は勉強に集中できる環境をつくりたかった」

猛勉強の末、無事に資格を取得した小山。不景気の嵐に見舞われる中、次のステップに向けて歩み出しました。

短期間で大小さまざまな会社に属し、自らの原点『顧客重視』に立ち返る

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エヌアセット本社新社屋

宅地建物取引主任者の資格を手に、就職した先は、いわゆる“町の不動産屋さん”。オーナー社長のもと、来店客の対応や物件への案内、賃貸借契約の作成・締結、不動産オーナーへの報告など一連の業務を任されました。膨大な業務量に一人こなすことに限界を感じた小山は、半年後、当時急成長を遂げていたアパート建築会社のグループにある不動産仲介会社へ転職します。

大小さまざまな規模の企業で、顧客に対する考え方や業務プロセスの違いに触れ“不動産業界に身を投じた自らの想いの原点”に立ち返っていた頃。小山がかつて在籍した総合不動産会社の元上司から、転職のオファーが舞い込みました。

小山「それが、総合不動産会社のDNAを受け継ぐ『顧客重視』の不動産管理会社、エヌアセットです。2010年当時は、かつての仲間たちが破綻の余波を受けながら、立て直しに向け尽力していました。

『またみんなと一緒に仕事がしたい』と、喜んで受けることにしました」

入社後、小山は賃貸営業部に配属。溝の口本店での接客業務に邁進しました。3年目に入った頃にはチーム長に昇進。部下のマネジメントにも関わるようになります。

賃貸営業に従事してから丸10年を迎えた2015年8月、小山は自ら志願し、管理部への異動を果たしました。

小山「自分の中で『一区切りをつけたい』『次のステップに移行したい』という想いが強くなり、異動願いを出したんです。管理は、営業とはまったく違う業務ですが、『これまで培ってきた知識や対人スキルが活用できるんじゃないか』という自信も少なからずあって。

実際に、活かせる部分はありました。でも、特に異動1年目はオーナー・入居者双方からご指導いただくことの方が多くて……」

部内を覆う「中堅社員の小山なら大丈夫だろう」という空気感。実はトラブルの対処法を詳細まで聞きたいのに、誰にも聞けないジレンマ――小山は、以前味わった放任主義に近い苦しさを味わいました。

優先順位をつけながら、1つひとつの仕事を地道にこなす。不動産オーナー・入居者双方の立場になり、迅速で的確な対応をする。右往左往しながらも、管理業務を身につけてきた小山。異動から6年が経った2020年9月現在では、管理部・賃貸経営サポートチームのチーム長代行を務めるまでになりました。

小山がマネージャーとなって、即実行したことがあると言います。それは、若手メンバーに対するメンター制度。「誰にも聞けなかった自分の苦しみを、もう誰にも味わってほしくない」という想いから始めた取り組みです。

管理業務は楽しい。そう感じてもらえるよう、多角的な取り組みを続けたい

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沖縄へ社員旅⾏に⾏った時のヒトコマ。この⼩⼭の笑顔は、仕事とはまた異なる表情で、信頼につながっています

小山「もう一人のチーム長代行と二人で担当を振り分けながら、メンターとして若手メンバーの助言役になることにしたんです。普段から相談しやすい環境を整えておけば、疑問や問題を迅速に解消でき、結果、業務効率化につながります。

相談されるのをただ待つだけでなく、私からも『この案件の対応進んでる?』というような声掛けは、意識して行うようにしています。

この体制を敷いてから、問題が大ごとになるケースは非常に少なくなりましたし、育成の観点から見ても非常に意義がある」

オーナー・入居者への対応、空室対策や建物管理など、フォロー領域の広い管理業務。小山が今、最も懸念しているのが、他部署の若手社員から「管理は辛い部署」と思われていることだと言います。

小山「6年間従事してみて、不動産管理の現場は非常にやりがいがある仕事。他部署の社員に異動したいと思ってもらえるような人気部署になってほしい。そのためにも若手社員もやりがいや楽しみを感じられるチームにしたいと思います。

オーナーから“賃貸経営パートナー”としてしっかり認められれば、さまざまな相談や仕事が受けられるようになり、自分自身への自信もついてきます。

私自身は、あるオーナーから管理物件以外の案件、例えば保有している土地の有効利用などについて相談された時に『一定の信頼を獲得できた』と実感します。

オーナーからの相談は幅広く、また一つひとつの課題解決も決して簡単ではありません。ただ、当社にはあらゆる要望に応えられる部署があるので、『相談されっぱなし』の状態にはならず、何かしら提案できるのが強みだなと感じます。全社の機能を活用してお力添えできたときはやはり嬉しいです。

加えて、入居者の方から『トラブル対応が早くて助かりました』と言われると、『自分の対応は間違っていなかったんだな』と励まされます」

不動産業界に入り、15年。現在自分が所属するエヌアセットは、学生の頃に抱いた“違和感”とは無縁の会社であると、小山は言い切ります。

小山「今、賃貸営業の最前線にいる社員たちはみんな、お客さんのことを一番に考えて行動していますし、管理部もオーナーさんの資産を最大限活かせるよう、日々の業務に取り組んでいます。

あくまでも私見ですが、今のサービスクオリティを維持・向上しつつ、無理のない範囲で拠点を増やすのが望ましい姿ではないかと。

このコロナ禍で、しばらく不安定な時期は続くとは思いますが、こんな時だからこそ、会社、そして自らの成長のために、絶えず挑戦していきたいですね」

最後に、日々意識していることは何かと尋ねると、小山は「バランス感覚」と一言。

不動産オーナー・入居者両者の立場になって考える、仕事とプライベートのバランスを取る――堅実かつフラットな小山の存在は、今後の会社の成長を力強く支えてくれることでしょう。